今回は、スタートアップの主にシード期(創業期前後)の資金調達において、エンジェル投資家から出資を受ける際にご活用いただける「エンジェル税制」についてです。シード期の資金調達は、スタートアップが最初にぶつかる大きな壁のひとつでもあり、多くの方が頭を悩ませるポイント。
今ある制度はフルに活用して、少しでもスムーズに資金調達を進めていきましょう!
先進国でダントツ低い!?開業率から見る日本のスタートアップ
日本経済の持続的な成長のためには、イノベーションによる創造が必要不可欠です。イノベーションを起こす担い手であるスタートアップ企業ですが、スタートアップ企業を含めた日本の開業率が何%かご存知でしょうか?
2014年〜2020年までの国際比較のデータによると、欧米の約10%を大きく下回る約5%が日本の開業率です。この開業率の低さは何に起因しているのか。そのひとつが、「失敗したときのリスク」であると言えます。
令和5年度(2023年度)経済産業関係 税制改正について(経済産業省)
開業率の低さが何に起因しているかの要因の一つは、日本政策金融公庫が行った2019年4月の調査から読み取ることができます。起業関心層が考える失敗したときのリスクの上位はいずれも「金銭面でのリスク」でした。具体的には次の内容です。
・事業に投下した資金を失うこと
・借金や個人保証を抱えること
・安定した収入を失うこと
では、これらのリスクを解消する手段にはどのようなものがあるのでしょうか。
エンジェル投資の活用
起業時の資金調達を行う方法の1つとしてエンジェル投資家からの「エンジェル投資」があります。「エンジェル投資」は事業見通しが不透明でビジネスリスクが特に高い創業時や創業直後において、スタートアップの事業を支える重要なリスクマネーの供給源です。
日本と米国の「エンジェル投資」の規模を比較すると、投資額の差はなんと約370倍です。そして、投資件数におけるプレシード・シード期の投資割合も日本は米国を大きく下回っています。まだ広く活用をされていない日本の「エンジェル投資」ですが、様々な税制の優遇制度の措置がとられています。
エンジェル税制の3つ優遇措置
エンジェル税制には、主に3つの優遇措置があります。
(※本内容はあくまで制度の概要です。詳細は税理士か、お近くの税務署にお問い合わせください。)
① 優遇措置A
『優遇措置A』は投資家の立場から見て、投資先企業の設立年数・新事業活動従事者の占める割合などの要件を満たした場合に、投資家は次のような優遇を受けることができます。
・(投資額ー2,000円)をその年の総所得金額から控除
・上限は800万円or総所得金額×40%のいずれか低い方
※設立5年未満の企業への投資が対象
② 優遇措置B
『優遇措置B』は投資家の立場から見て、投資先企業の設立年数・新事業活動従事者の占める割合などの要件を満たした場合に、投資家は次のような優遇を受けることができます。
・投資額をその年の株式譲渡益から控除
・譲渡益からの控除に上限は無し!
※設立10年未満の企業への投資が対象
③ プレシード・シード特例
『プレシード・シード特例』は、2023年4月1日より拡充された制度です。まだ広くは知られていない制度ですが、メリットの大きい制度です。投資先企業の設立年数などの要件を満たした場合に、次のような優遇を受けることができます。
・出資した投資額をその年の株式譲渡益から控除
・譲渡益からの控除上限は年間20億円
・将来、出資した株式を譲渡したときの取得価額の調整は無し(=課税の繰延べではない)
※設立5年未満、営業損益0未満等のベンチャー企業が対象
なお、この優遇制度は投資家による出資だけでなく、創業者の自己資金による出資も対象とすることができます。
あらゆる制度を上手く使いこなして、事業を推進する!
一般に、税制や各種制度には、そのときの国などの意図が現れます。今後も日本経済が発展をしていくためには、スタートアップをはじめとした新産業の創造が必要不可欠であり、国もその支援に力を入れ始めています。
スタートアップの皆さんは、こういったあらゆる制度を上手く使いこなして、事業を力強く推進させていってください!
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